添い寝は日替わり交代制！？
　お昼休みになるといつもみたいに吉田先輩と食堂へ向かう。
　その途中で声をかけられた。

「中島さんですよね？
　ちょっといいですか？」

　人違いであって欲しい。
　声をかけてきたのは井上さんだった。

　大人の女性な雰囲気を振りまいていて、気後れしてしまうのに井上さんは構わず近づいてくる。

「中島ちゃん。
　先、行ってるわ。」

　吉田先輩は気を遣ってくれたんだと思う。
　だけど今の私は、置いてかないでー！と泣きたい気持ちだった。

「ここじゃなんだから。」

　言われるままついていくとひと気の無い場所で井上さんは振り返った。
　髪からむせ返るような甘い香りが辺り一面に漂う。

「まったく。
　こんな子があの２人を惑わせているなんて。」

　完全に見下されているのが言葉の端々から伝わってくる。
　でも２人を惑わせているなんて誤解だ。

　私はそんなつもりじゃ………。

　その一言さえ喉の奥につっかえる。

「ま、宇佐美くんとは上手くいきそうだからいいんだけどさ。
　今後は宇佐美くんにちょっかいかけないでよね。」

　ん。と、出された手。

　何か分からずにいると「携帯！」と冷たく言われた。

　恐ろしくて携帯を渡せば勝手に何か操作している。

「宇佐美くんの連絡先、消させてもらったから。
　悪く思わないでね。」

　乱暴に携帯が返されると井上さんは来た道を帰って行った。

　立ち尽くしていた心春は崩れ落ちるようにその場にへたり込んでしまった。



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