たとえこの身が焼かれてもお前を愛す
「冗談ですよ」

ファーレンハイトは笑いながらスープを飲む。


「俺はお前みたいに女心を理解出来ん」


「例のフロイラインのことですね?」


自信ありげにファーレンハイトは笑みを浮かべた。


あえて答えることを避けたエルンストだったが、バレバレなのは明らかだ。

そもそも娼婦しか相手にしてこなかったエルンストが女性問題で悩むはずがないのだ。


「初めて本気の恋をされたのですね」


「......ああ。自分でも信じられん」


エルンストが恋愛を避け、娼婦しか抱かない理由をファーレンハイトは知っている。


あの娘が閣下の心を溶かしたのか。

ファーレンハイトは感心していた。


確かに見目麗しい。ファーレンハイト自身一目でフィーアに惹かれてしまったほどだ。

だが、それだけでエルンストの心を動かすとは考えられなかった。

一体あの娘にどんな魅力があるんだろう?


ふつふつとファーレンハイトの中で興味が生まれる。
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