ダサ倉君に焦がれたい







しばらくの沈黙の後……






「……ごめんなさい」




弱々しくすばるくんが言う。




「つばさちゃんがそんなに傷付いているって知りませんでした」




その無神経さが余計にあたしを苛立たせる。





だけど……






「じゃあ、ちゃんとデートしましょう」




すばるくんはあたしを見て、ゆっくり口を開いた。





「僕にはつばさちゃんしかいません。

だから……

僕とデートしてください」



その言葉に、



「……はぁ」



何となく返事をしていた。






すばるくんは何を考えているんだろう。

今さらデートしてくださいだなんて。

もしかして、あの雑誌通りのデートをするのかな。

それであたしが喜ぶと思っているのかな。

そんなはずないのに。

あんな作られたような王道のデートじゃなくて……不器用なすばるくんの、全力のデートがいいのに。



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