ダサ倉君に焦がれたい






あたしの甘い妄想は、



「つばさちゃん、ごめん!

用事が長引いてしまって!」



大好きなその声に掻き消された。




少しハスキーで耳に甘く響く声。

その声を聞くだけで、胸がきゅんと音を立てる。

そんな彼を、人はざわざわとして見ていた。

きっと「ダサ倉君」がいるからだ。

みんな、関わりたくないって噂してるんだ。




「ダサ倉君」を見る人々の反応にいい加減慣れてきたあたし。

人がどんな反応をしようと、あたしには関係ないんだから!






「ううん、あたしも今来たところ」




そう振り返った先を見て……

あたしは倒れそうになった。







だって……






「SUがいるよ」



「超かっこいい」




人々はそう噂していたから。



< 88 / 322 >

この作品をシェア

pagetop