彼と私の優先順位
告白
約束の日の前日。

私はいつも通りに出勤していた。



あの日。

慧がマンションの前に現れた日から、私の心拍数は上りっぱなしだ。

好きだ、と慧に言われたことがまだ信じられなくて。

私自身も自分自身を信じられずにいる。

慧に再会して、自分の中に眠る慧の存在の大きさに改めて気づいてしまった。

好き、というより、どう表現していいかわからないくらいの圧倒的な存在感。

その影響力。

私はその力に抗えなくて、情けないくらいに振り回される。



慧のことを考えると胸が痛いのに。

無意識に気にしている。



出勤していても、所属が違う筈なのに。

会ってしまったらどうしよう、と考えてしまう。

こんな調子で。

明日、私は慧に会って冷静に話ができるのだろうか。

……全くもって自信がない。



「紬木」

パソコンの画面を凝視していた私に、三橋くんが声をかけた。

「これ、小石川から渡してって頼まれた。
それと、来週金曜日の夜、空いてる?」

折り畳まれた紙を私に差し出して、三橋くんが尋ねる。

紙を受け取った私はありがとう、と言いながら卓上カレンダーを見る。

「……特に何も。
何かあるの?」
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