ヒトツバタゴ
ヒロインは恋に気付く

〜いつもと違うもの〜



月曜日


いつも通りの朝がきた


いつものギュウギュウ詰めのうんざりする電車



いつもと違う橘との距離…




近い…



いつもは掌をドアについているのに何故か今日は肘からついていて異常に近い…



私の顔のすぐ真横の少し上方に橘の顔があり表情は確認できないが近い…



私の視界は橘の肩が殆どを占め、奥にわずかにギュウギュウ詰めの人達が見える程度に近い…




香水とは違う橘の匂いがダイレクトに入ってきて私の思考を鈍らせる



心の中で叫ぶのは自由よ



この際はっきりと言おうじゃない




私は橘の匂いが好きだ





私は美少女戦士ものが好きなオタクではあるが決して匂いフェチではない



気付いたのは金曜日の夜


肩を抱き寄せられ家までに帰る道のりで


夜だったからかいつも橘が纏っているプラウドメンのグルーミングシトラスの香りは薄れ近すぎる距離に橘自身が放っているだろう匂いに離れるのが惜しいとすら感じた






結局、近すぎると抗議もできずにギュウギュウ詰めの電車は5区間を走り私達を吐き出す



会社までの道のりはいつもの距離



横を見上げればいつもの整った顔




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