明日、君を好きになる
『明日、君を好きになる』 恭介side
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『明日、君を好きになる』恭介side



…エリ

初めて君と会話したのは、確か8月の雨の日だったね。

その日、俺はひどく疲れていた。

実際、肉体的な疲労が溜まっていたことに加え、精神的にも最悪なコンディションだった。

君には言わなかったけれど、実はあの日の前日、前の職場の同僚から、恋人との結婚の報告を受けたんだ。

別に、その報告がショックだったわけじゃない。

それはとても喜ばしいことで、本心から二人を祝福する気持ちに、偽りはなかった。

…それよりも、誰かと共に歩んでいく決意をした友人を見て、俺は妙に焦りを感じたんだ。

同じように歳を重ねながら、生涯守るべきものを見つけた彼の強さに嫉妬し、未だ先の見えない中途半端な自分に苛立った。

煩わしいものを排除し、自分のやりたいことを優先して、自由に生きる。

自らが望んだ生活のスタイルに、自分自身は充分満足していたはずなのに、なぜだか急に虚無感を感じた。

自分は一体何の為に働き、何の為に生きているのか?

そんな当たり前のことに、疑問を呈してしまった。

だから、あの時ひどく塞いだ気分だった俺に、差し出された君からのチョコレートは、希望に満ちた当時の自分を呼び起こし、もう一度立ち止まって、考える”きっかけ”を与えてくれた気がしたんだ。

それと同時に、前から少し気になっていた君に、ますます興味を持った。

ーーー最初は、ほんのからかい半分だった。
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