明日、君を好きになる
注文は、決まって開店から10時までの限定メニューである、モーニングセット。

ハワイアンのテイストを取り入れた、甘くないパンケーキとサラダとヨーグルト、それにお店の看板でもあるコナコーヒーのセット。

サラダとヨーグルトは、その日によって種類を替えてはいるけれど、たいした変化にはならないはず。

ほぼ毎日食べていて、飽きないのかな?と、提供する店側が言うのもおかしいが、不思議に思う。

食事を終えると、まだ人気のない店内で、新聞を読んだり、読書をしたり、自由気ままにのんびりと過ごし、周辺のオフィス街の会社員やOLさん達がやってくる時間の前には、スッと帰っていく。

自分がこの店に来て、オープンを任されてからの数か月、繰り返される日常の一つ。

“カフェ店員とお客さま”というだけの関係で、当然、特別な会話など何も無い。

…いや、無かった。

そう、あの日までは…。

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