明日、君を好きになる

『…俺としては、最初の質問の答えが知りたかったのだけどね』

視線を逸らさず、言葉を続ける。

『ま、今日は新しいエリの一面が見られたから、良しとするよ』

そう言うと、すっかり冷めてしまっただろう、コーヒーカップを手にして、口にする。

…何だろう?

からかわれているだけだとわかっているのに、一度打ち始めた胸の鼓動が、なかなか治まってはくれない。

どうかしてる。

相手は、自分とはかけ離れたところにいる人なのに。

『あのっ、コーヒー新しいのお持ちしますね』
『ん?ああ、じゃあ、お願いしようかな?』

動揺しているのがバレないように、いつもの営業スマイルで対応すると、温くなったコーヒーカップを受け取り、逃げるようにテラス席を後にする。

カウンターの内側に入り、新しいコーヒーを淹れる為に、造りつけの食器棚からカップを手にとると、その手が微かに震えていて、この時初めて自分が緊張しているのだと、気が付いた。

大きく深呼吸を一つ。

これは、決して特別な感情なんかじゃない。

ちょっと、予想外の展開に、びっくりしただけ。

そう自分に暗示をかけ、今はただ、美味しいコーヒーを淹れることだけに集中することにした。

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