明日、君を好きになる
今だって、来て早々、お店のカフェエプロンを腰に巻くと、長くウエーブのかかった髪を一つにまとめて、気が付けば、もうランチの仕込みに入ってる。

それでいて、店内の様子にも気を配り、

『エリィ、そろそろ店頭に、今日のランチメニュー出してもらえる?それと、それが終わったら、悪いんだけど、2番のテーブルの方にコーヒーのお替りをお持ちして』

太陽のような笑顔でそう言うと、自分はランチのデザートに添えるためのハーブを取りに、テラスに向かい、そのついでにテラス席のお客様と談笑。

その無駄の無い行動に、感動すら覚える。

従姉妹なのだから、私にも彼女と同じ血が、ほんの少しは流れているはず…と、似ている部分を探そうとするも、残念ながら一つも見当たらず、誰にも気づかれないように、小さくため息をつくと、お店の入り口に向かった。

日差しが眩しい8月の初旬。

周りを高層ビルに囲まれた、都会の一角に構える、ハワイアン風のカフェ。

このお店自体も、オフィスビルの1階に位置し、本来はコンクリートの打ちっぱなしだった場所を、渚ちゃんがデザインから材料まですべて手配し、彼女自身の理想のカフェを作りあげたらしい。

木枠の大きなガラスドアを開け、本日のランチメニューが書かれた、黒板を店頭に出すと、店の前に少し張り出た緑色のカフェシェードから、一歩広めの歩道に出て振り返り、改めてお店の外観を見まわす。
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