私の二人の神様へ




「しかし小春と二人きりなんて久しぶりだな」



 次の日が土曜日ということで泊まれ、と仁くんと佳苗さんは言ったけど着替えもないからと断った。


 だから仁くんはお酒も飲まずにこうして車で送ってくれる。


 日付が変わるまで三人で盛り上がってしまったから電車はとっくになくなっていた。


 やっぱり星がちらほらとしか見えないけど、仁くんが隣にいると故郷にいるような気分がする。


 満点の星空が簡単に再現できるから、東京の夜空も寂しくない。



「そうだね。あかりちゃんが生まれてから初めて!」



「違う。榊田のせいだ。あいつが小春に付きまとうせいで」



 口をへの字に曲げる仁くん。


 仁くんの家に行く時は必ず榊田君が一緒だし、言わずもがな帰りも榊田君と一緒。


 だから、仁くんと二人きりになる時間は……


「あ!!」



 思わず大声をあげた。



「どうした?」



「ど、どうしよう!?榊田君に何にも言ってない!」



「あいつに何か言う必要ないだろ」



 そんなことか、と仁くんは取り合う様子もなし。



 二人は本当に仲が悪い。



「榊田君のおかげで受かったのに合格したことさえ、伝えてないのよ!?」



 カバンの中を引っ掻き回し、携帯を探る。


 履歴を見れば、朔ちゃんからの連絡があるだけで榊田君からの連絡はなし。


 どうしよう?


 絶対、怒ってる。


 何という不義理なことを。


 自分の無神経さに頭をポカポカ殴った。



「別に、受験番号知ってるんだろ?」



「そういう問題じゃないでしょ!?」



 確かに、榊田君は私の合格はネットで確認したはずだ。


 でも、だからと言って私が報告しなくて良いということにはならない。


 加えて、仁くんの家でお祝いをしてもらったと知れば、冷ややかな視線を浴びること間違いなし。


 私は本当にバカだ。


 今度は頬をペシペシ叩く。



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