私の二人の神様へ
「さ、榊田君!ど、どうしてここに!?」
「お前ノロい。とっくにみんな帰った」
どうしてここにも何もいつも一緒に帰っているから当たり前だ。
まして、今日は榊田君の家に泊まるのだから。
夜のことを想像した途端、顔が発火しぶんぶん首を振った。
「だから、気味が悪い。お前と歩く俺まで同類に見なされたらどうしてくれる」
人の目なんか気にしないくせに、どの口が言うか!
「気味悪いって。もう少しオブラートに包んだものの言い方があるでしょ?」
「オブラートどころか風呂敷でグルグル巻きだ。何なら、思ったまま言って良いか?」
「け、けっ、結構です!」
好き好んでシャレにならない言葉を聞くアホはいない。
「なら、行くぞ。送って行く」
「送って行く、って……」
「お前の家に決まってんだろ」
私はお泊まり道具の入ったカバンを抱きしめた。
「……お、送ってもらう必要なんてない。今日は榊田君の家に泊まる」
「……ふーん」
一拍置いた後、何とも言えないほど、そっけない声が聞こえた。
その態度は何!?といつものように言えないで、私はただ俯く。
そんな私にもう一度、行くぞ、と声をかけて彼は歩き出したから私もカバンを抱きしめたまま歩き出す。
どうしよう。
榊田君の冷たい態度に強気に返してしまった。
三歩前を歩く榊田君のスニーカーを見ながら、てくてくと歩くが、頭の中はどうしようのフレーズでいっぱいだ。