浅葱色の忍
気を緩めてしまった


もう、目を開けるのもしんどい




「烝…食事だよ!烝?」



勇……


あ、そや



ゆっくり目を開けた



「お……起こして……」


サッと尾形が、背中を支えて起こしてくれ
食事が目の前に


いや


食事は、無理!



「尾形……あれ」

「今?食べてからでいいじゃないか?」

「食べられへん……持って来て」



熱がぶり返し、体中が熱い



「はぁ はぁ はぁ……」


肩で息をして


目の前で心配そうな

勇と沖田

2人は、食事がすんだらしい



「勇」


尾形に渡されたものを勇に差し出した


「俺… もう、勇と一緒にいられないから
代わりにコレ持ってて
片手でも、これなら勇を守ってくれる」



ピストルと弾の入った箱


「ありがとう 心強いよ」




「使い方わかる?」



「いや…」




「持ってるだけじゃ駄目やで?
外 いこ」




その熱で?
とか、止めないあたり

これが、俺の最後の力だと

感じてくれてんのかな





勇に使い方を教え

試しに一発撃たせた




「まあまあやな……」


「当たったんだ 誉めてくれよ」


「擦っただけやん!練習せなあかんで!」


「厳しいな」


「主に死なれたら……居場所なくなる
せやから…… 死なんといてや?」




銃声に皆が駆けつけていたけど
俺達のそばには来なかった




勇…


勇に体を預けると

ストンッと尻もちをつく



「ふふっ 勇 うち、勇を好きで良かった」



勇に口づけをした



勇は、ぎゅっと背中に回っていた手に
力を込めた


「烝… 」



勇からも、口づけをくれた


唇が離れると



勇の笑った顔が見え



嬉しい気持ちが溢れてくる



力の限り、勇に抱きついた



主の腕の中で死ねるんや




「おおきに… 勇…」




何度も感謝を口にした










< 188 / 264 >

この作品をシェア

pagetop