浅葱色の忍

山崎烝

「御養父殿の体調が思わしくない
万が一に備え、内部の調査を頼みたい」



御養父殿とは、徳川家茂の事
将軍である家茂の後見人である慶喜は
次期将軍候補

しかし、慶喜は京に来ることすら
本当は乗り気でないくらい
政に関わることを好まない




「万が一? 慶喜、継ぐの?」


「万が一と言っている
断れない状況になればということだ
どれくらいかかりそうだ」


「さぁ 夏頃までかかるかな」


「わかった
その分の迷惑料は、新選組に出そう」


「仕事にかかる前に
1度屯所に知らせてくる
あっちもややこしくてな」


「すまんな
烝より信頼出来るものがいなくてな」


「嘘つけ!使わねえだけだろ?」


「烝に会いたかったのは、認める
近藤と上手くやっておるか?」


「……」


「なんだ?喧嘩でもしたか?」


「ん そんなとこ
それに、局長と忍!
それだけだから!」



慶喜は、納得いかない顔をした


俺だって、なんでこんなにぎこちなく
会話らしい会話もなくなるほど
忍に徹しているのか

自分でそうしようと決めたけど


何やってんだ?って


自分が嫌になるほどや



















屯所に忍び込み、吉村に出会す


「副長に話しがある」


「おどかさないで下さいよ!
山崎さんいないから、ピリピリしてるのに」


「成長したな」




俺が屯所に入ったことに気がつくほど
吉村の神経が研ぎ澄まされている



後ろに回って、頭をペシッと叩くまで
俺の気配がわからなかった奴とは
思えないな




シュタッ


「どうした?
あ?山崎じゃねえか!」


吉村と思ったらしく、間抜け面



「夏まで、帰れそうにありません」


「緊急事態なのか?」


「そうですね… 事と次第では、延びるかと
幕府にとっての大事ですので」



「そうか  かっちゃんには?」



「副長から伝えて下さい」



「わかった」



「伊東さんは?」



「また旅に出るんだと」



「尾形をつけれたらお願いします」



「そうだな こっちは、なんとかする
慶喜様の力になってやれ」



「ありがとうございます」








しばらく会えないなら
会っておきたい気持ちもある



屯所を出る時に




後ろ髪を引かれる想いで
1度振り返った





勇…   勇に会えない日々に


俺は、耐えられるだろうか…
















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