イケメン兄の甘い毒にやられてます

突然ハプニング

それから、春人に話したお陰か、気持ちも楽になった夕陽に、笑顔が戻った。

授業も真面目にこなし、放課後は、それぞれ別れた。

…帰宅した夕陽は、珍しく出された課題をこなし、それが終わったら、エプロンをつけ、夕飯の支度を始める。

鼻唄なんて唄いながら、料理をしていたため、物音にも気づかなかった。

…ビクッ!!

ビーフシチューをかき混ぜてるときだった。

背後から突然ニョキッと腕が伸びてきたかと思えば、夕陽を包み込んでしまった。

勿論夕陽は驚いて声をあげた。

「…い、イヤー!」

「ゴメン、驚かせた?…ただいま、夕陽」

…聞こえてきた声に、聞き覚えがあり、夕陽は顔を横に向けると、覗きこむように、圭吾が微笑んだ。

「…お、驚かせないでくださいよ、ってか、放してぐださい」

「…もう少し」

「…料理が出来ませんよ。いつまでも食べられませんよ?」

「…だって、夕陽小さくて、抱き心地がいいんだ」

「…圭吾さん!」

恥ずかしくて、真っ赤な顔で夕陽は叫んだ。

…すると、ようやく圭吾は夕陽をその腕から解放した。

「…ただいま、夕陽」
「…」

「…おかえりは言ってくれないの?」
「…おかえりなさい」

やっと言った夕陽に満面の笑みを浮かべ、圭吾は言い返した。

「…ただいま」
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