イケメン兄の甘い毒にやられてます
「…夕陽、こっち」
「…」

圭吾に手招きされ、夕陽は複雑な心境のまま、近寄ると、突然圭吾が夕陽の手を取り、微笑んだ。

その行動にドキッとした。

これから待ち受ける静。夕陽は、話を全て、受け入れる覚悟を決めた。

圭吾は、夕陽の気持ちを知らない。夕陽も、さっき、気づいたばかりなのだが。

「…どうした?なんか、元気ないみたいだけど?」
「…いえ、別に」

よそよそしい態度の夕陽に、圭吾は首をかしげる。

「…急に、悪かったな。どうしても静が夕陽と食事したいっていうから」

「…静さんは」

「…ん?うん、仕事が終わり次第向かうっていってたから、もう、先に着いてるかもしれないな」

「…そうですか」

「…夕陽、静に会うの、嫌?」
「…そんな事は」

…ある。けど、言えない。

…結局、先に着いたのは、夕陽と圭吾。

中々来ない静は放っておいて、先に食べ始めようと言った圭吾だったが、夕陽は飲み物だけを頼んだ。

…正直なところ、食事なんて、喉を通らない。

「…ぁ、静、遅いぞ、こっち」

圭吾の言葉に、夕陽はビクッとなった。

「…悪いな、急患が入って…夕陽ちゃん、久しぶりって言えばいいのかな?それとも初めまして?」

夕陽はその声に振り返って、固まった。

「…ぇ、ちょ、ちょ、どうしたの?!」

静は突然泣き出した夕陽に驚き、ポケットからハンカチを取り出し、その涙を拭った。

「…静、ちょっと席はずすぞ」

そこにすかさず割ってはいったのは、圭吾。

圭吾は夕陽を一度外へ連れ出した。
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