イケメン兄の甘い毒にやられてます
3.兄の溺愛が凄すぎて辛い?
「…おかしい」

…静と食事をして以降、圭吾が全く夕陽に触れない。

優しさも何だかうわべだけで、好きだって言葉も皆無。

今目の前で朝食を食べる圭吾を、チラ見しながら夕陽も朝食を食べる。

「…もしかして」
「…夕陽、さっきから、何をブツブツ独り言言ってるんだ?」

不思議に思った圭吾が夕陽に問う。

「…へ?ぃや、別に…終わりました?片付けしますね」

作り笑いを浮かべ夕陽は立ち上がると、食器をキッチンへ運ぶ。

「…夕陽、今日の予定は?」
「…え?」

…今日は、日曜日。咲も春人も試合でいないので、夕陽は暇な日曜日だ。

「…特には」
「…そう、じゃあ、出掛けようか。身支度できたら声かけて。部屋で仕事してるから」

「…え、ちょ、圭吾さ」

夕陽の静止を聞くこともなく、さっさと部屋に入ってしまった。

…圭吾は一体何を考えているのか?

さっぱりわからないまま、夕陽は片付けをし、身支度をした。

…圭吾の部屋の前。ドアをノックしようと手をあげるも、その手はドアをノックしなかった。

…よそよそしい態度の圭吾と1日共に過ごすのは辛そうだ。

夕陽は手を下ろし、自室から鞄を持つと、静かに家を出た。

< 44 / 131 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop