イケメン兄の甘い毒にやられてます
4.本気と書いて、マジと読む
…翌朝の夕陽は元気一杯だった。

好きな人との別れは何より辛い。

だが、圭吾は全てを受け入れ、付き合い続けることを選んでくれた。

その事に感謝しても、しきれない。

夕陽は、日を追うごとに、圭吾への想いが大きくなっていく。

好きなんて言葉では足りない。どう言えば、この想いを表現できるんだろうかと思うほどだった。

「…ごほっごほっ」
「…夕陽、風邪ひいた?」

朝食の時、突然の咳に、圭吾が心配そうな顔で、夕陽のおでこに手を当てた。

「…大丈夫です。喉がちょっとおかしかっただけなんで」
「…そう?…熱はないみたいだからいいけど。しんどくなったら保健室にいくんだよ?熱が出たら、直ぐにうちの病院においで、いいね?」

圭吾の言葉に、夕陽は素直に頷いた。

学校での夕陽はいつもと変わらず元気だった。

が。

それは、午前中だけだったようだ。

圭吾の心配は、本当になり、午後になると、どんどん熱が上がった。

「…38.9℃、直ぐに帰りなさい。病院は?」

保健室の先生に問いかけられ、夕陽は答える。

「…兄が勤める病院に行きます」
「…そう、それなら安心ね、でも、一人で行ける?大分しんどそうだけど」

「…大丈夫です。行けます」

夕陽を心配してついてきた春人たちに、ついていくと言われたが、大丈夫だと言い切って、一人で病院に向かった。

…。

「…甘えた方が、良かったかな」

目の前が歪む。

体がふらつく。

…でも、目の前にようやく病院玄関が見えた。

「…」

それに安心してしまったのか、夕陽はその場で気を失ってしまった。

周囲は騒然とする。

そんな中、助けてくれたのは白衣を着た医者だった。
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