イケメン兄の甘い毒にやられてます

愛するものの為なら

「…ただいま」

お泊まりセットを抱え、夕陽が自宅の玄関を開けた。

「…お帰り、夕陽!」
「…わっ?!ちょっ!圭吾さん?!」

待ちに待った夕陽の帰宅に、圭吾は夕陽に飛びついた。
当然、夕陽は驚いている。

「…お帰り、夕陽」
「…ただいま、圭吾さん…ママたちは?」

「…二人とも仕事だよ」
「…そうですか…」

「…夕陽?何か、元気ないね?どうした?体調でも悪い?」

「…え?!まさか!そんな事ないです。凄く元気ですよ」

そう言って笑って見せる夕陽。

だが、夕陽の様子が、やっぱりいつもと違う事に気づいた圭吾は、夕陽の頭を撫でて、優しく問いかけた。

「…やっぱり様子が変だよ、俺でよければ、何でも聞くよ?」

「…」

心の準備をしていたにも関わらず、やっぱり落ち着かなくて、夕陽は黙りこんでしまった。

そんな夕陽を連れ、リビングに連れていった圭吾は、夕陽をソファーに座らせ、自分も隣に座らせる。

「…夕陽?」
「…あの」

「…ん?」
「…聞いてもらいたいことがあるんですけど」

「…うん、何でも聞くよ、落ち着いて、ゆっくり話してみて」

圭吾の優しい言葉遣いに、少しずつ落ち着きを取り戻してきた夕陽は夢の事や、寮生活を続けることを圭吾に、包み隠さず話した。

「…ダメですか?」


…圭吾から、返事がない。

怒ってしまったのか?

夕陽は、気が気じゃない。

「…圭吾さん、」
「…そんな、大事な夢があったんだね」

…夕陽の夢は、朝陽みたいな、看護師になることだった。
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