イケメン兄の甘い毒にやられてます
着いた所は丘の上にある教会だった。

「…圭吾、さん?」
「…おいで、夕陽」

助手席のドアを開けた圭吾は、夕陽の手を取ると、教会の中へと足を進める。

「…圭吾さん、勝手に中に入ってもいいんですか?怒られませんか?」

「…大丈夫、ここは、うちの患者さんが勤める教会でね、今日、中に入りたいと頼んだら、開けておいてくれるって約束してくれたんだ」

「…患者さん…神父様?」
「…そうだよ」

手を繋いだまま、キリストの前に立った二人。

「…綺麗なステンドグラス」
「…夕陽は、綺麗なもの好きだよね」

二人は顔を見合わせて笑う。

「…あの、今日はどうしてここへ?」
「…うん、今日は、夕陽に、凄く大事な話があって…それと、ここで、どうしても誓いたいことがあって、連れてきたんだ」

…今までにないくらい真剣な顔の圭吾に、思わず夕陽は息を呑んだ。

「…あのね、夕陽」
「…はい」

「…今ずっと進めていた論文が認められてね」
「…それってスゴいことじゃないんですか?!」

嬉しそうな顔で言う夕陽に、圭吾は困ったような笑みを浮かべた。

「…スゴいことなんだよ。でも、認められちゃったからには、これから、色々忙しくなるってことで…夕陽に、こうやって、沢山会って話したり、イチャイチャしたり、出来なくなる」

「…」

圭吾の言葉に、夕陽の顔から笑顔が消えた。

「…もちろん、忙しいといっても、1年~2年位で、後は通常業務に戻る予定だよ」

「…そんなに?」

只でさえ会えなくなるのに、今からもっと会えなくなるなんて…夕陽の心は寂しさで押し潰されそうだった。
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