black×cherry ☆番外編追加しました
「咲良は特に、男の人につけこまれやすいでしょう。心配なのよ、本当に。まあ・・・今回は、兄さんの非が大きいけれど」

「でも、おじさまは私のことを考えてくれてのことだったの。それに・・・黒崎さんは大丈夫だよ」

なんだかんだ言いながら、いつも面倒を見てくれて。

それに私のことは子どもと言うし、ママが心配するようなことはないと思った。

「大丈夫って・・・すごく怖そうな人だったじゃない。気をつけないとダメよ。あなたには、早川先生がいるんだからね」

「・・・」

「うん」なんて頷けなかった。

勝手に決められた婚約相手。

「早川先生がいるから」って、私は、黒崎さんと出かけていたらいけないの?

反抗したい気持ちだけ、自分の中で膨れ上がっていく。

「黒崎さんは、本当に大丈夫だよ。おじさまに言われて付き合ってくれたの。美術館に連れて行ってくれたり、夕飯もごちそうしてくれたの。それなのに・・・」

あんな態度をとるなんて、と続けて言おうとしたけれど。

「な・・・、夕飯って・・・なにをしてるのっ!送ってもらうだけじゃなく、二人だけで食事をしたの!?」

ママは突然、気を狂わせたように私のことを叱責した。

泣きそうな、怒った顔。

大変なことを言ってしまった、と、罪悪感と、恐怖を感じた。

「何てことをしているの・・・!自分のしたことわかってる?」

「あっ・・・う、うん・・・」

「・・・信じられない。兄さんにも言っておく。とにかく・・・今後一切、男の人と二人で出かけるなんて絶対ダメよ。ましてや車に乗るなんて、もってのほかのことなのよ」

「・・・・・・うん・・・」

心配をかけた罪悪感で、もう、頷くことしかできなかった。

そして、おじさまと黒崎さんが悪者になってしまったことに、私は胸が痛かった。











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