black×cherry ☆番外編追加しました
「・・・っ、ちが」

「あっ・・・!まさか、この前家まで送ってきた人?もう・・・!二人で食事になんて行ったりするから・・・!」

「っ!違うよ・・・っ!」

取り乱すママに、私は嘘をついてしまった。

これで「そうだ」と言ったなら、確実に、黒崎さんに迷惑がかかってしまうから。

「・・・ママの、知らない人」

「知らない人って・・・。どこで会ったの?なにをしている人?」

「・・・それは・・・」

「お医者様なの?ちゃんとした人?」

「そ、それは・・・」


(どうしよう・・・)


大変なことを言ってしまったと、今更ながらに焦ってしまう。

ママが、こんなにも取り乱すなんて私は予想していなかった。

「・・・咲良、あなたはね、羽鳥家の跡取りなのよ。それはきちんと考えて」

「で、でも、私・・・」

「とにかく!コンサートの後は早川先生のご家族とお食事会をしますから。その時までに、その、好きな人のことはきれいさっぱり忘れなさい!」

厳しい口調でそう言うと、ママは私に背を向けた。


(・・・なんで・・・)


今、初めて気がついた。

黒崎さんを好きだって、今、初めて気がついたのに・・・。

もう、忘れなくてはいけないの?

やっぱり私は・・・恋することは許されないの?

ただ、私は悲しくて。

それ以上、言葉が何もでなかった。













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