black×cherry ☆番外編追加しました
「・・・急に言われても」

「む、無理ならいいんです!もし、お暇なら、で・・・」

「・・・」 

黒崎さんは、私が差し出したチケットを無言のまま見つめていた。

確実に、困ってる。

どうしよう、と、右手を下げようと思った瞬間、紙が引き抜かれた感覚がして私の胸が跳ね上がる。

けれど。

「余ってるのか」

「えっ?」

「岡本にでも残り頼めば?適当にさばいてくれると思うけど」


(え・・・)


余ってるから、渡したって思われた・・・?

違うのに。

余ってるからなんかじゃなくて、私は、黒崎さんが聞きに来てくれたら嬉しいから・・・。

「ああ!咲良ちゃん、いいよ~。職場で配るから言ってくれれば」

岡本さんも、余ったから渡したのだと感じたらしく、黒崎さんの言葉を受けとる。

きっと、黒崎さんに悪気はなくて、岡本さんも好意で言ったのだと思う。

でも・・・。

「違います・・・」

「え?」

岡本さんが、笑顔のままに聞き返す。

私は、ドキドキとしながら黒崎さんのことを見上げた。

「チケットが余っているからではなくて。私は・・・黒崎さんが来てくれたら、嬉しいなって思ったから」 

「・・・は?」

まだ伝わらないようだった。

意味が分からない、という顔をされ、私はもう、ここまできたらはっきり伝えることにした。

「だから、私は・・・黒崎さんが好きなんです。だから、黒崎さんに聞きに来てほしいんです」
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