black×cherry ☆番外編追加しました
「土日は忙しいので。申し訳ありません」

「ああ!?嘘つくな!バツイチで彼女の影もないおまえが忙しいわけないだろう!!」

「・・・っ」


(・・・ふざけんな・・・)


休みがあったら釣りに行く。

別に女がいるとか関係なしに、オレは普通に忙しい。

そんな思いで舌打ちすると、本部長はさらに訴えかけてきた。

「この機会を逃すとな、コンサートが終わるまで咲良と会えないんだよ。今回は『礼をする』って目的だから、特別に咲良の家から許可が出たんだ。

こんなチャンスは貴重だぞ!!とにかくな、オレは一刻も早く咲良に会いたいんだよ!!」

最後は半ば逆ギレだった。

完全に伯父馬鹿・・・いや、シスコンでもねえ、姪コンか?

「はあ」、とオレが呆れると、本部長は悪の銀縁眼鏡を光らせた。

「いいか・・・。行かないなんて言わせねえ。来月な、離島に勤務している針谷巡査部長が任期を終えて帰ってくるんだ。その次は田浦に一応決まってたんだが。

この際人事を変えてもいい。釣りが好きみたいだし、離島なんて誰かさんにぴったりかもしれねえしなあ・・・」

「・・・っ」


(こいつ・・・マジで最低だな・・・)


黙り込むオレを見て、銀縁眼鏡はニヤリと笑った。

性格の悪い悪徳眼鏡め・・・。

「・・・よし!決まりだな。早く会いたいから土曜にするぞ!勤務だったら調整してやる。後で詳細連絡するから。おまえの携帯教えとけ」


(チッ・・・)


腹立つが、反抗イコール離島勤務か。

オレには無理だ。

ブチ切れそうな気持ちを抑え、オレはもう、権力に屈さざるを得なかった。











< 58 / 318 >

この作品をシェア

pagetop