black×cherry ☆番外編追加しました
レストランの会計は、昭一おじさまが先に済ませてくれていた。

ごちそうすると言っていたので当たり前かもしれないけれど、こういうところ、おじさまはスマートでとてもかっこいい。



レストランを出た後は、近くに止めてあった黒いRV車に乗せてもらった。

やや年季の入った、黒崎さんの大きな車。

黒崎さんにとても似合っているけれど、私は助手席の位置が落ち着かなくて、ひとりそわそわしてしまう。


(本当は、後部座席がよかったんだけど・・・)


佐和子おばさまの車では、助手席の位置に乗るけれど、馬場さんの車では、私はいつも後ろの席だ。

男の人の隣の席は、想像以上に落ち着かない。

けれど本や釣り道具など、とにかく物がいっぱいあって、後ろに座ることは無理だった。





車が走り出して数分。

星の塔美術館まで、ここからまだ約20分ほどかかるそう。

到着がとても待ち遠しい。黒崎さんの隣に座る、無言の空気が息苦しくなる。


(どうしよう・・・毎度、黒崎さんとの会話に悩む・・・)


一回り年の離れた男性に、どんな話題を振っていいかもわからない。

共通項である釣り桟橋の出来事や、おじさまやおばさまのことは、いろいろ話してしまったし。


(でも、このまま無言は辛すぎるから・・・)


どうしよう・・・と一生懸命話題を考え、そうだ!と、ひらめいたことを黒崎さんに聞いてみた。
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