想いが溢れて

いつものにがいひ。




「ねぇ、」


「……」


「ねぇって!」


「なに…」


「聞いてた?」


「あーワリ、聞いてなかった」


「ヒロなんて知らない!」


あーあ。行っちゃった。



キット彼女は、なにか大切なことを言っていたのだろう。



大きな目に今にも零れそうなほどの涙を溜めて。






事の発端は俺、橘 裕樹(たちばな ひろき)の親友である八重 将大(やえ まさひろ)の何でもない会話だった。



元々俺は、いわゆるプレイボーイというやつで女癖が悪かった。


そんな俺を見かねたマサは、俺に言い放った


「とりあえず、芙佳(ふうか)ちゃん落としてみますか。」



意味がわからない。

なんで俺の女癖を治すために、女を落とすのか。



< 2 / 14 >

この作品をシェア

pagetop