冬の恋、夏の愛

急な泊まりだと、メイク落としがないだとか、下着がないだとか。シャンプーひとつにしても、男用のシャンプーだと髪がバシバシになるとか、トリートメントがいるだとか。女の子はいろいろとめんどくさい。

幸い、駅前のスーパーは夜遅くまで営業していて、必要なものはひと通り、買うことができた。ついでに、酒やおつまみも買いこんだ。酒を飲んで寝てしまえば、理性もなにもなく、無事に朝を迎えることができるだろう。

「今夜は、朝まで家飲みですね!」

羽島さんがうれしそうに笑った。違う意味でのオールナイトにならないように。ここから男のオレと理性との、長い戦いが始まる。

「その前に、シャワーお借りしてもいいですか?」

第一関門のシャワー、きた! 下半身がお祭り騒ぎになりそうなところをこらえて、涼しい顔をしてバスタオルを手渡した。

風呂場に向かう後ろ姿を見送ると、ソファにドサッと座った。とりあえず、テレビでも……と、スイッチを入れた瞬間、偶然にもラブシーンが映し出された。

慌てて立ち上がると、急いでチャンネルを変えた。なにをそんなにドキドキしているんだ? オレは! スポーツニュースを観て、心を落ち着かせた。

ああ……。なんだか、ドッと疲れた。


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