冬の恋、夏の愛

それから三日もしないうちに、涼介から呼び出された。呼び出された……と言うよりは、家に押しかけられた。

「莉乃ちゃんと、別れたんだって?」

コンビニの袋からビールやおつまみを取り出しながら、涼介がトーンダウンしながら言った。

「違う。振られた」

「振られた? 寿彦のことだから、野球優先にしたんだろ?」

図星すぎて、黙ってしまった。

「どうして? 莉乃ちゃん放置で野球を観に行くつもりだったのか?」

……ここまで図星だと、彼女経由で莉乃ちゃんから話を聞いたのかと言いたくなった。

「クライマックスシリーズのチケット、一枚譲ってもらったから……」

「……それで?」

「莉乃ちゃんとデートの約束をしていたんだけれど、許してもらえるかと思って」

ビールのプルタブを開けると、勢い良く流し込むようにして飲んだ。苦味が喉や、なぜか心にまで沁み入る。

「……なんて言ったの?」

「今度の土曜日、広島に行く……って」

「はぁ?」

涼介も、莉乃ちゃんのようなリアクションをした。言い方がまずかったんだと、今さら気がついても遅かった。

「そんな言い方、振られて当然」

傷口に思いっきり塩を塗られた。でも、塗られて当然。せっかく涼介がくれた出逢いを、オレから手放してしまったのだから。

「うん。わかってる……。やっぱりオレは、一生、独身でいいや」

「またぁ。そうやってすぐ拗ねる。振られたもんはしょうがないから、新しい子を紹介してやるよ、な?」

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