冬の恋、夏の愛

そして迎えた、試合当日。朝から小雨が降り、グランドコンディションは悪かった。プレイボールの十三時前には雨があがったのが、幸いだった。

ジメジメとした空気を含んだ、生温い風が吹いた。痛み止めを飲んで、キャッチボールを始めた。莉乃ちゃんは、スタンドから観戦している。気持ちを落ち着かせ、いつも以上のプレーができるように、力を発揮するだけだ。

十三時になり、プレイボールがかかった。

一回表、青空スターズの攻撃は、流星サンダーズのエース、加茂さんの前に三者凡退に終わった。

一回裏、流星サンダーズの攻撃。青空スターズのエース、吉城泰孝はフォアボールやヒットで満塁にされてしまった。それでも、粘りのピッチングを見せ、ピンチを切り抜けた。球数は増えてしまったけれど。

その後は、なんとか立て直し、得点を許さなかった。投手戦になり、スコアボードにはゼロが並んだ。

そして迎えた、六回裏。流星サンダーズの攻撃。粘投していた吉城さんが突如、捕まってしまったのだ。

ワンアウト、満塁。打席には加茂さん。加茂さんは投げるだけではなく、打撃にも定評があった。得点圏打率が高く、塁にランナーがいればいるほど打つ、嫌なバッターだ。

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