愛するもの。愛すべきもの。
先生の家に泊まって不自由はなかった。
私の身の回りの物全てが揃っていた。
それくらい私はここに居座っていたという証拠。
休みの日は外に出られない分、家の中で映画鑑賞をした。
先生の家には映画が沢山あった。
先生曰く、
「莉子の為に買い集めた」
私と観るために、わざわざ買ったらしい。
私がいつ来て、いつでも観られるためにレンタルはしないらしい。
どれだけ“私”が愛されてたのか胸が苦しくなった。
これだけ愛されてても、私は先生のことはカケラも思い出せない。