君を忘れない~妄想の中の王子様
出逢い
 まぶたが、重い。身体のあちこちが、痛い。
 それでも、暖かな日差しが、私の意識を目覚めさせる。

 波の音が聞こえる。潮の香りがする。

「おい、大丈夫か。」

 目を開けると、見知らぬ若い男性が、心配そうな顔で覗き込んでいた。

 浅黒い肌に黒い髪。同じく漆黒の瞳は、鋭い輝きを放っている。無理に起き上がろうとする私の肩を、その逞しい腕が支えた。

「ここは?……あなたは?……」

 頭の中がグルグルと混乱して、かすれた声で、そう言うのがやっとだった。

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