君を忘れない~妄想の中の王子様

「それで、レイもここに来たの?」

 もう少し、気の利いたことを言いたかったのだけど、そんなことしか言えなかった。


「どうなんだろうな。……どちらにしろ、あんたには、関係ないことだ。」

 そう言われて、胸の奥が、チクリと痛んだ。

「俺、もう、寝るわ。あんたも、もう、戻れよ。」

「そうだね。おやすみなさい。」

「ああ、おやすみ。」

 部屋に戻って、ベッドの中で、私は、考えていた。この、胸の痛みは何だろう。

 レイに、助けられて、時々優しくされたりして、それだけで、なんだか、近くに感じていた。

 でも、そう感じているのは、私の方だけで、レイは、違う。心が、遠い。

 そのことが、こんなに苦しい。
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