SecondWedding
「相変わらず長湯だな」
リビングに顔を出した途端に嫌みですか!
恭介さんこそ相変わらずですこと。
「髪を乾かすに時間がかかるんですよ」
冷蔵庫からミネラルウォーターを取り出して恭介さんの横に座る。
「あら」
「作っといた」
テーブルにはヴァイオレットフィズが。
「ありがとうございます」
最近は涼がいるから、あまりヴァイオレットフィズを飲むこともない。
「乾杯すっか」
「そうですね」
恭介さんもスコッチを注いでグラスを取りグラスを合わせて
「乾杯」
「乾杯」
うん、美味しい。
「恭介さん、今日は本当にありがとうございました」
「ん。だがまさか俺までやらされるとは」
「フフフ…そうですね」
花嫁一人ってのもおかしいんだけど。
でも、あれは瑞穂さんの悪戯心もあったわね。
恭介さんがあたふたするのを楽しんでるところが瑞穂さんと誠さんにはあるもの。
「二度目の結婚式でしたね」
「あぁ。ハハハ…」
何故か急に恭介さんが笑い出した。
「お前、慎吾の結婚式の夜に『白無垢を着るのが子どもの頃は夢だった』って言って俺が着るかって聞いたら『私、もう一回結婚するんですか?誰と?』って突拍子もないことを言ったな」
「えっと…そうでしたっけ?」
「そうでした!一瞬、俺と離婚する気なのかとマジにビビったわ」
よく覚えてるわね。
確かにそう言って恭介さんに怒られたわ。
「じ、冗談に決まってますよ。私には恭介さんしかいないんですから」
「お前…しどろもどろ」
「……」
なんだかまた苛める材料を与えてしまったような。
「ククク…まるで酸欠金魚」
「子猿…蛸…河豚に今度は金魚ですか?私は人間ですよ」
本当に失礼なんだから。