過保護な副社長はナイショの恋人
周りに人がいない方が落ち着くし、せめてもう少しふたりだけでいたい。

そう思って言うと、一翔さんは優しく私を抱きしめた。

「そうしよう。俺もその方がいい」

「はい、一翔さん……」

一翔さんの体って、温かいな……。素肌で抱きしめ合うのは照れくさいけど、私も彼の背中に手を回す。

しばらく温もりに浸っていると、一翔さんが不意に体を離した。

「そうだ、咲実に渡したいものがあるんだ。服着てこっちにおいで」

と、一翔さんはシャツを羽織ると、ベッドを降りる。私も服を着ると、あとに続いた。

彼が向かった先はリビングで、チェストの引き出しを開けている。そこになにがあるのだろうと少し離れて見ていると、カードが取り出されていた。

「はい。スペアキー。咲実に持っていてほしいんだ」

差し出されたカードを見て、驚きで目を見開いた。

「スペアキーって、一翔さんの部屋の……?」

「当たり前だ。これがあれば、自由に来れるだろ?」

「で、でも……」

本当にいいのかな……。受け取ることを戸惑っていると、一翔さんは半ば強引に私にカードを握らせた。

「俺がいないときに、来てくれても構わない。咲実はもう俺の彼女なんだから、それくらい持っていていいだろう?」
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