過保護な副社長はナイショの恋人
「えっ……? 勘当されたって……」

ほとんど理解ができず、呆然としていると真衣子さんが続けた。

「一翔さんは、頑なに咲実さんと別れないと主張したから、おじいさまの逆鱗に触れて。もう、松谷家の敷居はまたがなくていいと言われたの」

真衣子さんは顔をしかめながら、首を横に振った。

「でも、それは一翔さんの意思です。私がどうこう言う問題じゃ……」

「あなたの責任よ。すんなり別れてさえくれれば、一翔さんはおじいさまに逆らわずに済むじゃない」

私の言葉を遮るように、彼女は強い口調で言った。

「でも、もし私から別れを告げたところで、一翔さんの気持ちが、真衣子さんに向けられるとは思いません……」

真衣子さんは、なにがなんでも私に彼と別れてほしいんだ……。それだけ、一翔さんを好きなんだろうけど、簡単に挑発には乗れない。

だから、私も反論すると、彼女は淡々と答えた。

「最初はそれでも仕方ないわよ。この結婚話がなくなりかけて、面目を潰されたと、一翔さんのおじいさまは激怒されてるの」

「待ってください。でも、その問題と私は関係ないと思います」

「ワガママなのね。なんでも自分に関係ないって。今回のことで、一翔さんは仕事だって辞めさせられるかもしれないのに」
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