不機嫌なカレと秘密なつながり
「あ? 麻耶先生? 放置して帰ったに決まってんじゃん」
 一条君が球技大会の試合の合間に、あたしが投げかけた質問に答えてくれた

 彰太が、サッカー部員よりうまいプレーをしてやる!という我がままに付き合ってくれてる一条君

 次の試合までの空き時間、彰太と一緒にスポーツドリンクを片手に休んでいた

「誰かにバレて退学になりたくないし。麻耶先生も、さすがにヤバいと思ったのか、早々に学校を辞めたしなあ」
 ケタケタと一条君が笑い声をあげた

 彰太は黙って聞いているが、真実はどうなんだろうか。
 彰太はもしかしたら、一条君から聞いているかもしれないけど
 教えてはくれないなんだろうなあ

「さて、と」とあたしは、立ち上がるとスカートの裾をパンパンと叩いた。

「姫歌?」
「ん?」
「どこに行く? 俺の試合、もうすぐだけど」
「知ってる。サッカー部員のバスケももうすぐだから。そっちの応援にいかなきゃ」
「ああ?」

 彰太の眉間に皺がよる
 機嫌が急降下しているのが、手に取るようにわかって思わず、笑みがこぼれる。
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