もう一人の自分
あるだけのお金をポケットに入れて、逃げるようにして列車に飛び乗ったのが三日前。行く当ても無く列車を乗り継ぎ、唯ひたすらに北を目指す。目的も計画も何も無い。友人には「もう一人の自分を探しに行くのだ」などと、何とも気座な言葉を放り投げてきた。
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