東京恋愛専科~または恋は言ってみりゃボディブロー~
ダメだ、泣いちゃダメだ…。

自分に言い聞かせて、こぼれ落ちそうになる涙をこらえる。

仕事するんだから…。

これから仕事に集中するんだから、泣いちゃダメだ…。

泣きそうになっていることを隠すために、眠たいふりをして手で顔の半分を隠した。

何でちゃんと聞こうとしなかったんだろう。

たった一言、聞くだけじゃない。

“私とつきあってもいいんですか?”って、そう聞くだけじゃない。

なのに、何で勘違いだとかって勝手に決めつけて自分の中で完結させたんだろう?

傷つくのが怖かったから?

育んできた思いを壊したくなかったから?

どちらにしろ、ちゃんと聞こうとしなかった私が悪い。

傷つくのが怖くて向きあわずに、壊したくなくて逃げた私が悪い。

自分がかわいくて何も聞こうとしなかった私が悪いんだ…。

そう思ったら、顔を隠している方の目から涙がこぼれ落ちた。
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