きみは宇宙でいちばんかわいい
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いったい何枚の服を着ては、脱ぎ捨てただろう。

ベッドの上でこんもりと山を作っているそれらを、横目で見てげんなりしたけど、片づけは帰宅後の自分に託すことにした。

いまはとても、そんなことをしている心の余裕なんか、微塵もない。


クローゼットのなかで繰り広げられたトーナメントを勝ち上がり、本日の一着に決まったのは、青緑色のワンピースだった。

去年の夏、しかも季節の終わりがけにセールで購入したものだけど、ちいさな白い花の模様と、そんなに強くないフレア感に、ちょうどいい膝丈がドンピシャで、一目惚れしてしまったもの。


スタンドミラーの前で、くるん、と一周まわってみる。

しかし、360度を何気なく捉えた視界の端に、絶対に見えてはいけないものが入りこんだ気がして、瞬時に背筋が凍りついた。


「う、あ! お……にい、ちゃ!?」

「おまえ、兄貴のこと、オバケかなんかだと思ってんの」


開け放たれたドアの傍らで、壁にもたれかかるようにして立っている我が兄・悟朗さんは、完全に寝起きの出で立ちをしている。

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