きみは宇宙でいちばんかわいい
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新しい教室にやって来て、あんなのは単なる序章だったのだと思い知る。

1年生のころ仲の良かった友達が、ひとりも同じクラスにならなかった。


元来ものすごく人見知りのわたしが、すこぶる頑張って築き上げた、去年の人間関係。

それが、ほんの一瞬で白紙になってしまうとは。


「あーあ。また、イチからやり直しかぁ……」


朝一番、柊くんによって静かに粉砕されたハートは、いよいよ修復不可能かもしれないな。


「頑張ろうっと……」


決意表明をして自分を鼓舞しようと思っても、口のなかでモゴモゴ消えていくのが弱々しくて、あまりの情けなさに泣きたくなる。

半泣きになりつつ、自分の席へ向かった。


木原(きはら)”は、だいたいいつも、真ん中よりちょっと前のほうくらい。

今年はア行の子が多いらしく、少し後ろ気味で、窓際2番目の列の、最後尾からも2番目のところだった。


黙って椅子にお尻をつけて、スクバのジッパーを引っぱる。

うつむいたまま、周りの様子に耳を傾けてみると、すでに仲が良いグループでおしゃべりしていたり、新たな友達どうしで連絡先を交換していたり。

とてもじゃないけど、誰かに話しかけるのは、わたしには難しそうな状況だ。


特に用もないのに鞄の底を漁ってみたりする。

スマホをタップしてみても、何の通知も来ていないし、SNSも朝のうちに全部チェックしてしまった。

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