1か月だけ同い年。

天野司



6月6日。それは毎年嬉しい日。妹みたいな幼なじみが自分に追いつく日。


7月6日。それは、なんとも言えない日。自分の誕生日。嬉しいけど、寂しい日。


俺の誕生日。また離れる日。君が同い年でなくても同じに接してくれればいいのに……


でも君が妹みたいに接するのなら、また1年待っていよう。早く追いついて。待ってるよ、紗千。





天野司が7月6日にこのような事を便箋に書くようになったのは小学4年の時だった。


それは、紗千が日記を書きはじめて2年目の日。司の10歳の誕生日。


いつもケーキを届けに来る時間に紗千が来なかったので(珍しく失敗していた。)、浅賀家へ行った司は紗千の部屋に通され、紗千の日記を目にすることになる。


興味本位で開いた日記には、例のごとく紗千の想いが綴られていた。


司はいつから書いているのかとページをめくり、1年前にも同じことが書いてあるのを発見した。


紗千が想いを綴っているのなら、自分も書こうと思った。


だが、司は日記を毎日書けるほどまめではない。そこで、せめて自分の誕生日には手紙を書こうと思ったのだ。




彼もまた、健気な幼なじみの真似をしてしまうほど、紗千と対等でいたいのだ。


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