彼女の罪について
 


その大ちゃんと由梨加もまた、私たちに負けず劣らず仲良しだ。
お互いがお互いのことを心から想い大切にし合っている、それが話を聞いているだけでも伝わってくる、絵に描いたような理想のカップル。


「もうそろそろ真剣に結婚のこととか考えたいなあ」

「……そういう話したりしてるの?」

「ううんまだ。でも今度切り出してこないかなってちょっと期待してる」


そっか、もう3年目だしね。
そう相槌を打とうとしたとき、テーブルの端に置いていた私の携帯にポップアップが表示された。



――『新着メッセージがあります』



「ねえ、頼子もそういう話ないのー? あれいつだっけ、前に仕事で知り合って連絡先交換した人いるって言ってたでしょ? その人とはどうなった?」

「あー、うん……」



――『今日誕生会の後空いてる?』



飾り気も何もない一文。それは、今月に入って初めての誘いだった。
……やっぱり。そろそろ来ると思ってた。


「たまに会ってる、かな」



 
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