キャンディ☆
第2章 kei side

悩み

美容師は自分の天職だって思ってる。

カットして気に入ってもらった時の

その人の目を見ることがうれしかった。

逆の時ももちろんある。

ちょっと曇った目を見ると

自分はまだまだだなって思う。



納得してもらえるまでやりたいが

大抵、お客さんの方が折れてしまって

帰って行く。

その瞬間はたまらなく辛い。



でも、また来てくれた時の喜びは

とっても大きくて・・・

今度こそ納得してもらえるように

がんばる。

だから美容師はやめられない。


なのに、親父は俺からはさみを

奪うようなことをした。


美容師の親父に憧れて、美容師に

なったのに、もぅずっとはさみを握ってない

親父は経営者になっていた。



俺に与えられたのは取締役という

堅苦しい肩書きと、雑務だった。

お客さんとの時間よりも

なんだかわからない会議の時間ばかりに

なってしまった。

親父1人で大きくしたこの美容院は

今や家族経営の枠を超えて

まだまだ、大きくなるだろう。

近いうちにまた、店舗が増えるらしい。






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