そのくちづけ、その運命
時刻は午後3時。
あれから1時間たった。

胸の高鳴りもほどなくして落ち着いた。


でも、なんでだろう。

ホールに出て慌ただしく動き回っているときも、彼が視界の端に映りこむと、なぜか心臓の鼓動が私をせかすように大きくなる。

結果、どぎまぎしてしまう。

これこそまさに独り相撲だ。

恥ずかしいな私…

でも、あの優しい笑顔が頭から離れない。

あんなふうに、しかも異性に微笑みかけられたのは初めてで。

あれほど男子が苦手だと決めつけていたのに、今日初めて見た人に目を奪われるなんて。

でもどうしてだろう。

どうして、私の心臓はこんなにもドキドキしているのだろう。

もしかしてこれがいわゆる一目惚れ?



今朝見たあの夢のことを思い出した。

「運命の人」

なんて甘美で魅力的な響きの言葉だろう。

もしこれが運命だとしたら、私がこんなに緊張しているのも、目が離せなくなってしまっているのにも説明がつく。

神様が決めた「運命」なら―――。





そこで慌てて思考を停止する。

また私は!
そんなことあるわけない!!


脳内会議終了!





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