そのくちづけ、その運命
俺は高校入学と同時に美術部に入った。

中学までは趣味で描いていただけだったが、
高校では美術を専門とする先生に直接教わりたいと思って決めた。

この頃から、なんとなく大学はそっち方面に行きたいと考え始めてはいた。
あくまでもなんとなくだけど。


顧問の柊先生はまだ30代の若い男の先生だったが、いきなりやって来た変な生徒にも真摯に応じてくれた。

自分で目的も持たずただ漠然と描いていた時期とは打って変わり、みるみる絵は上達した。
柊先生は俺が特別熱心だったからか、いろいろな絵の技法を教えてくれた。

その中で、特に印象的で、興味をひかれたのが油絵だった。

画用紙などの紙ではなく、木枠に亜麻100%の布が張られたものを使う。
1回絵の具をつけただけではまだ薄っぺらで、そこには何の存在感もないが、
それを何回も重ねていくと、だんだん色に奥行きが出て、深みも増す。

その過程が独特でとても面白いと思った。


……*……*……





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