取り込む家
見守る~翔也サイド~
俺はサキが天井を見つめているのを見ていた。


さっき本を落とした音を気が付いてくれたようだ。


サキは「ヘビだったら嫌だなぁ」と呟き、掃除を再開した。


俺はその様子を見て大きく息を吐き出した。


もう少し、あと少しで俺の存在に気が付いてくれるかもしれない。


だけど、2人が俺の存在に気が付いたとして、俺はどうすればいいんだろう?


声も出ないし手足もない。


そんな男が屋根裏にいたとなったら、2人はきっと怖がってしまうだろう。


できれば2人を怖がらせたり、迷惑をかけたりしたくなかった。


特にサキだ。


彼女は怖がって泣き出してしまうかもしれない。
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