2人の王女と2人の騎士

「これは何の騒ぎだ?」





アレン王子と入れ替わるように向かってくる人物が1人。

銀色の短髪にエメラルドグリーンの瞳。
彼の名はクライド・ブレイクリー。
幼なじみ4人の中で1番年上の20才で、イグニスと同じ名門ブレイクリー公爵家の長男だ。





そして、私が想いを寄せる人…。






「姫様までいらっしゃるとは。イグニス、説明しろ」

厳しい表情で睨む目線は一見怖そうに見えるけど、私にとってはうっとりしてしまう視線だ。

…って酔いしれてる場合じゃなかった。
私からちゃんと説明しないと。



「クライド、私が悪いの。私がアレン王子から逃げていてイグニスと兵たちを巻き込んでしまったから…」



先程まで練習に取り組んでいた兵たちは一連の騒動で何事かと私たちに注目している。



「はぁ、またですか」
そう言って大きくため息をつく。


「まあまあ、そうすぐ怒るな。セラはあの王子が苦手なんだよ」
「そ、そうなのよ」


イグニスはニカッと笑って私の気持ちを汲み取ってくれた。




「しかしこのままでは姫様の立場が悪くなるだけだ。…そうだ。明日から俺が姫様の教師になって、王女としての品格を上げて差し上げましょう」



ということはクライドと一緒に過ごせるってことだ。しかも2人っきりで。想像しただけでにやけてしまう。


「何を考えているいるのですか?私の授業は厳しいですよ?」



あ…笑顔が怖い。
一瞬にして妄想していた事が壊れていくようだ。



私は嬉しいような嬉しくないような複雑な気持ちで明日を迎えるのだった。
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