2人の王女と2人の騎士

ーイグニス・バートレットー



俺はファルサリア有数の名門貴族、バートレット家の長男として育った。
1人っ子だからか幼い頃は両親から甘やかされて、周りの人々にちやほやされていたと思う。

そんな俺でも唯一厳しく言われていたのは、セラたち王族と接する時。

粗相をしてはいけない。
言葉に気をつけろ。
敬うように接しろ。

そんな事ばかり言われていた。



とはいえ、物心ついた頃から顔を合わせていたセラとティアにはそんな丁寧な態度は出来なかった。
クライドだって子ども頃はいつも砕けた口調だったし。


それに俺は頭が悪くてバカだ。
なぜ同世代を敬わなければいけないのかと考えていたのだ。





そんな俺の考えに賛同してくれた唯一の人がセラだった。
同い年であり、性格も良く似ている事から俺たちは特に仲が良かった。

そのうち俺は自然とセラを好きになっていった。もうかなり前…10才くらいには好きだった気がする。

けれどその気持ちをどうしようとは思わなかった。





セラがクライドを好きになるまでは…。


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