2人の王女と2人の騎士
第8章 囚われのお転婆姫


side セラフィーナ



「う…ん…」


視界がぼやける中ゆっくりと目を開く。
馬のひづめの音と揺れがある事で、ここは馬車の中だというのが分かった。


「お目覚めですか?」


声のする方を見ると、ワインを片手に私を見つめるアレン王子がいた。
動こうとしても手足を拘束されて身動きが出来ない。


「思った通り可愛らしい寝顔でした。存分に堪能させてもらいましたよ。…あぁ安心して下さい。まだ手は出していませんから」


アレン王子の言葉に鳥肌が立つ。
その言葉が信じられなくて慌てて服装を確認するけど、乱れた様子はなかった。




「このような行為、絶対に許されません」


私は真っ直ぐに彼の瞳を見つめて睨むと、手が伸びてきて顎を掴まれる。
不意に近付いてきたアレン王子の顔は端正な顔立ちをしていて、とても王女を連れ去るような残酷な雰囲気はなかった。



「そのような虚勢を張れるのも今のうちです。さあて、ファルサリアの騎士様はあなたを助けに来られるのでしょうかね?」


「必ず来てくれます!」



そう言い切って顔を横に振り、アレン王子の手から逃れた。

その事には何も振れずに彼はフッと笑うと馬車の窓から外を眺め始める。


今現在どこに連れて行かれるかも分からない状態だけど、私はイグニスが助けに来てくれる事…ただそれだけを願っていた。

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