私たち政略結婚しました!~クールな社長と甘い生活~

「しげさんこそ、高陽さん一人きりにして、心配じゃないんですか?
こんなところにいないで、高陽さんのところに行ってもいいのよ」あの広い家にたった一人だなんて、私なら逃げ出す。

「旦那様のところに?」
まさか、と言って笑っている。

「心配じゃないの?」

だって、彼のためについてきたんじゃないですか?

「旦那様は、大丈夫ですよ。一人で何でもできますし。それに、一人になって、少し寂しい思いをした方がいいんですよ」

ん?

旦那様、大好き。
ずっと側においてくださいじゃないの?

「寂しい思いをした方がいいなんて。本気で思ってないでしょう?
本当は、かわいそうで、見ていられないくせに」

「心配ですよ。奥様もおバカさんですけど、旦那様の方は、もっとおおバカ者ですからね」

「しげさんからすると、どっちも、おバカさんでしょうね」

私の方は、どうしたらいいの分からない。彼の方は、どういう理由でほったらかしてるのか、分からないけど。

「奥さま…………」

しげさんの表情が引きしまる。

こっちに来てと、私に近づくように手招きする。


「奥様、実は、ここだけの話ですけどね」

「ん?なに」

「結婚されてからすぐに、旦那様がひょっこり、私の家まで来てくれたんですよ」

「高陽さんが?」

「そう。一人で突然うちに来たのよ。それでね、何って言ったと思う?」

「さっぱりわかりません」

「あのね、その時の高陽さんたら、気の毒なくらい落ち込んだ様子でね。あなたに嫌われたかもしれないって、暗い顔で言うのよ」

「私に嫌われた?」

< 153 / 173 >

この作品をシェア

pagetop