私たち政略結婚しました!~クールな社長と甘い生活~
「しげさんこそ、高陽さん一人きりにして、心配じゃないんですか?
こんなところにいないで、高陽さんのところに行ってもいいのよ」あの広い家にたった一人だなんて、私なら逃げ出す。
「旦那様のところに?」
まさか、と言って笑っている。
「心配じゃないの?」
だって、彼のためについてきたんじゃないですか?
「旦那様は、大丈夫ですよ。一人で何でもできますし。それに、一人になって、少し寂しい思いをした方がいいんですよ」
ん?
旦那様、大好き。
ずっと側においてくださいじゃないの?
「寂しい思いをした方がいいなんて。本気で思ってないでしょう?
本当は、かわいそうで、見ていられないくせに」
「心配ですよ。奥様もおバカさんですけど、旦那様の方は、もっとおおバカ者ですからね」
「しげさんからすると、どっちも、おバカさんでしょうね」
私の方は、どうしたらいいの分からない。彼の方は、どういう理由でほったらかしてるのか、分からないけど。
「奥さま…………」
しげさんの表情が引きしまる。
こっちに来てと、私に近づくように手招きする。
「奥様、実は、ここだけの話ですけどね」
「ん?なに」
「結婚されてからすぐに、旦那様がひょっこり、私の家まで来てくれたんですよ」
「高陽さんが?」
「そう。一人で突然うちに来たのよ。それでね、何って言ったと思う?」
「さっぱりわかりません」
「あのね、その時の高陽さんたら、気の毒なくらい落ち込んだ様子でね。あなたに嫌われたかもしれないって、暗い顔で言うのよ」
「私に嫌われた?」